先日、1688年から下諏訪で旅籠を営んできた「御宿まるや」さんに宿泊しました。
中山道と甲州街道の合流点である下諏訪では、宿場町として栄えた当時の面影を残す建造物を多く見ることができます。まるやさんの現在の建物は、1993年に以前の建物の梁材等をできるだけ再利用し復元したもので、構造材も含めすべて木材と漆喰壁でできているそうです。
客室は主室(8畳)、二之間(6畳)、入間(7畳)、玄関(2~3畳)の4間から構成される上段の間様式。
当時はどんな風にこの部屋で過ごしていたのだろうか、とイメージが膨らみます。(お部屋の写真は宿のHPから)
1日3組限定の贅沢なお宿。
夕食は同様の別のお部屋でいただきます。
使われる食器も江戸時代のものです。
なんと美しい塗りなんでしょう!
蓋を開けたら、内側の美しさにもうっとりしました。
300年前の器で食事を頂けるなんて、感動してしまいます。
朝ご飯は囲炉裏端で。
もちろんお膳も江戸時代から使われているもの。
鯉の蒸し焼きや地元のお野菜、昨日、山で採ってきた山菜など、信州らしい献立でした。
数年前、「とにかく明るくシンプルに」と、北欧風の部屋にリノベーションした我が家ですが、きっと未来は「和」に回帰する気がしています。
お座布団も素敵です。
新しいものに変えると、部屋と調和しないので、表の生地も中の綿も、当時のままだそうです。
綺麗に手入れされていて、ため息が出ます。
柳原白蓮さんが泊まられた際に、詠まれた句。
茶道のお稽古に通うようになり、お軸を拝見しますが、筆文字の読めなさに直面中です。
おかみさんは、スラスラ読めてしまう。
教えていただいたのに、帰宅したら、もう読めないのでした。
朝ドラで見た知識しかない白蓮さんのことも、もっと知りたくなりました。
床の間には薬師寺の瓦が置かれていました。
文学も歴史も文化も疎い自分が歯がゆいです。
宿はどこも磨き上げられていて、ところどころに生け花が飾られています。
「旅館業は総合芸術なんです」
とおかみさんは仰います。
茶道、香道、華道、ほか、様々なことを学ばれてきたとのこと。
それらすべてが、宿泊者をもてなすことに表現されていました。
バックパッカーでユースホステルを利用していた時代からは考えられない旅の形。
こういう旅を楽しめるようになった自分を嬉しく感じました。
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